楽典等についてのQ&A
Q.同主調について・・・ハ長調とハ短調のような例を示すこととおもいますが、以下のような黒鍵について、同名ではないのですが 主音は同じなので、同主調ととらえても 間違えではないですか?変ニ長調 と嬰ハ短調 ・ 嬰へ長調と変ト短調 などなど
A.間違えではありません。しかし、音楽の試験などで嬰へ長調の同主調はなんですか?との問いには素直に嬰ヘ短調と答えるのが、楽典的にも正しいでしょう。
Q.転調について・・・曲の中で様々に変化していきますが、転調の法則(みたいなもの)と内容について詳しくおしえてください。(1)エリーゼのために(ベートーベン)・・イ短調→ヘ長調(2)雨だれ(ショパン)・・・変ニ長調→嬰ハ短調(3)ノクターン9-1・・・ 変ロ短調→変ニ長調
A.和声的に無理の無い転調とは、近親調での転調です。同主調、平行調、属調、下属調で転調していきます。変ニ長調→嬰ハ短調は同主調ですし、変ロ短調→変ニ長調は平行調です。但し、エリーゼのためにの場合はイ短調とヘ長調はこれにあてはまりませんが、全く違和感が無いのは、転調のはじめの音がヘ長調の主和音ではなくて属七度の和音を持ってきているからです。まあ、イ短調とヘ長調もハ長調を媒介とした近親調のひとつなのですが。。。
Q.音楽記号に関する疑問ですがダブルシャープってなんでしょうか?例えば、ダブルシャープのドはレと同じものですか?あと、どう違うんですか?
A.ダブルシャープは、基音の半音上の音の更に半音上の音です。現代の西洋音楽では平均律が使われており平均律では、数学的に1オクターブを12等分して半音が決められていますので、例えばドのダブルシャープはレと全く同じ音になります。従って平均律の曲でダブルシャープは表記上の問題、例えば、イ長調の曲でソ・ソ♯・ソ・ソ♯という音が連続する場合ソのナチュラル・ソ♯・ソのナチュラル・ソ♯・・・などと非常に臨時記号が多くなるのを避けるためにファのダブルシャープ・ソ・ファ・ソと表記すれば良いので使用する場合が多いようです。但し、純正律では厳密にはソとファのダブルシャープの音程はほんの僅かですが違っています。オーケストラなどでも、幾つかの楽器で和音を演奏する場合平均律を使うより純正律で演奏したほうが心地よいハーモニーができるので、全く純正律は消滅しているわけではありませんが、基本的にはドのダブルシャープはレと同じ音と思って間違いではありません。
Q.ターン、回転ターン、逆ターンってどういう意味なんですか?
A.ターン、逆ターン、回転ターンは演奏法を指定する記号でSの字を縦長にしたような記号で表記されます。ターンは(表記音→)ひとつ上の音→表記音→ひとつ下の音→表記音の順に等分の長さで演奏されます。二つの音符の間にある場合は前の音→前の音のひとつ上の音→前の音→前の音のひとつ下の音→前の音→後ろの音、の順に前の音の長さの1/4〜1/2程度を等分して演奏します。 逆ターンと回転ターンは同じで(表記音→)ひとつ下の音→表記音→ひとつ上の音→表記音、の順に表記音の長さを等分して演奏します。二つの音符の間にある場合は、前の音→前の音のひとつ下の音→前の音→前の音のひとつ上の音→前の音→後ろの音、の順に前の音の長さの1/4〜1/2程度を等分して演奏します。
例えば、ハ長調のドの音に記号がついている場合は、(ド)レドシド、(ド)シドレドとそれぞれ演奏されるといった具合です。
new05.gifQ.ドのシャープとレのフラットとかは違う音なんですか?もし、これらの音をピアノなどで弾く場合はどのようにして弾くのですか?
A.答えとしては、同じ音といえば同じ音、異なる音といえば異なる音です。これは音律の問題に関係していて、簡単に説明できる問題では無いので(1冊の本ができてしまいます)、詳しくは説明しません(できません)が、弦楽器や管楽器はドのシャープやレのフラットは別の音を演奏する場合が多いです。これは、和声の問題も絡んでくるのですが、オーケストラの演奏では平均律に近い音律を使用せず、和音の進行や音符の進行に合わせて平均律でいう音からずらして演奏するため非常に心地よい音楽が楽しめます。(但し異論もあるようですが)。ピアノは平均律に近い調律で固定された音になってしまうのでド♯=レ♭になります。MIDIも同様の音律になるので、オーケストラ曲をMIDIにして原曲と比べると若干の違和感(特に和音の響きの透明感に影響があります)を感じてしまいます。従って、上記のような答えになってしまうわけです。