楽器についてのQ&A
Q.ビブラートは2本の弦を押さえたときも出来るんですか?
A.2本の弦を押さえた時でもビブラートをかけたい時にはかけます。もちろん、1本の弦を弾いている時に比べれば深いビブラートはかけにくいですが。もっとも、コードを弾く時などは最後に弾く音(最高音)しかかけない場合がありますがこれは音楽上の問題で、同時に押さえる数とビブラートは無関係です。
Q.演奏中に弦が切れたらどうするの
A.(オーケストラの場合)演奏が休みになった時に、自分の後ろの奏者と楽器を交換します。それを 順繰りにやっていって、一番後ろの奏者がそっと楽屋へ下がって、弦を交換するか予備の楽器を持って来ます。今度は、逆のリレーで 前の奏者に戻します。コントラバスの場合、演奏中に弦が切れることは滅多にありません(だいたい前兆があります)。もし切れたら 怪我人が出る可能性が大きいです。(笑)
A.(ソリストの場合)演奏の区切りがつくまでは他の弦を駆使して演奏を続けます。休みのところで コンサートマスターと楽器を交換し、あとはオーケストラの場合と同じような交換をします。
Q.4本も弦があるのに舞台の上で短時間にチューニングするのはスゴイですね。
A.実は、舞台裏できちんとチューニングをやっています。舞台では半分は形式的なチューニングです。
Q.チェロとかベースは、他の弦楽器と違って弓を横に動かしますが、上下に動かすのと、横の違いってありますか?上下に動かすと、弓の力の入れ具合がイメージしやすいのですが、横だとピアニッシモのところなど、腕の力が抜け過ぎて、弓を支えきれずにずれて落ちてしまわないか? などと余計な心配をします・・・。
A.基本的にはあまり違いはありません。科学的に言えば、上下に動かすほうが重力の影響を受けやすいですが。 もちろん、弓を動かす筋肉の使い方は違いますので、例えばチェリストがバイオリンを弾くと、いつもと違う筋肉を使うので筋肉痛を起こたりします(笑)。また、 ピアニッシモなどで弓が落ちてしまわないかという心配ですが、大丈夫です。弓を握る力は、ピアニッシモでもフォルティッシモでも一定です。音の大きさは 弓が弦を押す圧力つまり、弓から楽器方向への力や、弓を動かすスピード、弦を擦る場所などで調節するからです。曲想によってこれらを使い分ける ことで、同じピアノやフォルテでも固めの音や柔らかめの音を表現しています。
Q.このあいだサラサーテの「チゴイネルワイゼン」の楽譜を買って気付いたのですが、ソロヴァイオリンパートの音符の上、あるいは下にある「+」は何を表しているのでしょうか?
A.これは、弦楽器特有の奏法で、左手ピチカートの意味です。通常のピチカートは左手で弦おさえて右手で行うのですが、超絶技巧で、左手の人差し指で弦をおさえて小指で弦を弾きながら、右手は弓で演奏するという非常に難しい奏法です。サラサーテやパガニーニなどのバイオリンの名手の作曲した曲によく登場します。
Q.ヴァイオリンの弓に[馬の毛」が使われるようになったのは何時頃からですか?
A.簡単に答えると16世紀半ばといわれています。というのも、バイオリン属の楽器はフィドルという楽器が変化したものといわれていますが、そのフィドル以前の歴史ははっきりとわかってはいないようです。バイオリンは誕生してから殆ど進歩のない楽器といわれており、すでに誕生の時点から弓には馬の毛が使われていました。
Q.オーケストラで使われる楽器って一体いくらくらいするんですか?
A.楽器の値段はピンキリです。入門用のフルートなど1万円そこそこで買えますし、バイオリンのストラディバリなどは数千万円するものもあります。(バイオリンの入門セットなどというものは教則本等がセットになって1万円そこそこです)。これらの値段は、材料や加工で全然価格が違ってきます。管楽器は、まず材料。湿度や温度による変化が少ない、長年使用しても錆びなどの経時変化が少ない材料、大量生産品か手作り(一本一本丁寧にチューニングしてある)によっても価格が全く異なります。弦楽器も材質や作り方で価格が異なります。安いものはベニヤ板、高級品は無垢材で丁寧にニス塗りを繰り返し、やはり湿度や温度による変化が少ないものは高いです。ストラディバリやガルネリといった楽器は、楽器自体も非常に良い音が出るようですが、それに更に骨董的希少価値で値段が釣りあがっているようです。ちなみに、コントラバスは通常40万〜数百万円ぐらいの楽器が多く使われているようです。さすがに大きいだけあって、数万円で購入できるものはありません。弦楽器の場合弓も数百万円するものもあります。
Q.フルートなどの横笛は口の使い方が難しいと聞いたんですが、本当なんですか?
A.これは難しい質問ですね。端的に言えば、管楽器は全て口(唇)の使い方が難しいです。フルートや横笛は吹き口への息の吹きかけ方で音質も音程も変わってしまいます。他の管楽器はリードやマウスピースを使って音を出しますので、フルートなどに比べれば息の出し方による変化は少ないのですが、それでも全然違った音になります。まあ、回答としては、管楽器奏者は指使いが難しそうに見えますけれど実は口の使い方の方がずっと難しいという事です。
Q.オーケストラの弦楽器を習い始めたいと思います。それぞれの楽器によって難易度は違うのでしょうか。もし違ったら教えてください。個人的にはヴァイオリンがいいのですが、もう遅いと言われました。(16歳です)。
A.難しい質問ですね。同じ旋律(音域は別にしても)を演奏するとすれば、低音楽器程難しく、高音楽器程簡単です。それは低音楽器程半音の指の開きが大きいから運動性が悪くなり早い旋律が弾きにくいからです。ただ、作曲家はその点を考慮してアレンジしますから、低音楽器と高音楽器にずっと同じ旋律を演奏させることはありません。それぞれの楽器に合ったアレンジをしています。逆に音程の点で言えば左指の正しく押さえる場所から1pずれた時の音程のずれは、バイオリンは半音以上ずれるけれどコントラバスはそれ程でも無い為、一般的には低音楽器の方が易しいと言われています。が、最終的にはその楽器の特性を考えて選択すれば良いと思います。オーケストラで演奏する場合には、それぞれの役目を考えて選ぶことが大切です。バイオリンは旋律が多く、ヴィオラは内声と言われており対旋律やリズム担当の場合が多い、チェロは低音を担当しますが時々旋律もあります、コントラバスはオーケストラの屋台骨を支える立場。合奏する場合に、あなたがどの役割をやりたいかが重要になると思います。それから年齢的な事ですが、バイオリンを始めるのに16歳で遅いとは思いません。何歳からでもやりたくなったらやれば良いのです。プロのバイオリン奏者になろうという事であれば16歳では遅いですが。。。私の周りでも高校や大学に入ってからバイオリンを始めた人がたくさんいます。40歳になってからチェロを始めた方も立派にアマオケで練習しています。まだ、16歳であれは全然問題ありません。但し、バイオリンの場合は、小さい頃からやっていないと2nd Violinというどちらかと言えば、1st Violinのオクターヴ下やヴィオラと一緒にリズム担当という少し地味なパートをやらされる場合が多いですが。。。。(アマチュアの場合、ヴァイオリン以外は殆どが15〜18歳ぐらいに楽器を始めています)
Q.フラジオレット(音符の上の小さい丸)は通常何オクターブ上の音を鳴らしますか?音符の上の菱形は、実音ではどの音を鳴らさせているのでしょうか?やはりそれもオクターブは関係しますか?
A.フラジオは、基本的には弦の長さのX分の一の場所を軽く触れて演奏すると開放弦のX倍の倍音が出るというものです。具体的に書くと、弦の長さの真ん中を触れて弾くとその弦の開放音の1オクターヴ上の音が出ます。楽譜では基本的には○がついている音は実音表記、◇の音は人工倍音(指で押さえて弦長を意図的に変えて出すフラジオ)対応ですが、かなり混同されて使用されているのが現状のようです。◇は軽く触れる位置を示すので、触れる場所と実音が異なる為、譜面を見て直感的に音程を確認できないという欠点があります。で、コントラバスの場合は記譜音が実音より1オクターヴ高いという事もあって、非常にわかりにくくなっています。最も使うのがG線のG音上のフラジオですが、これは実音と抑える音が同じです。コントラバスは他の弦楽器と異なり弦の間が4度の為、和音でのチューニングができず、フラジオでチューニングします。 これは、弦の2分の1の場所とひとつ高い弦の3分の1の場所(3倍音=1オクターヴ+完全5度)が同じ音程になるのでそれを利用するわけです。例えばA線の倍音=A、D線の3倍音=Dの五度上=Aというわけです。非常に判りにくいと思いますが、コントラバス奏者もアマチュアレベルではフラジオを全て把握できているわけではありませんので。。。(笑)